Stories
カルチャー・クラブ「Do You Really Want To Hurt Me / きみは完璧さ」が与えた衝撃と反響
およそ37年前、イギリス中がカルチャー・クラブの虜になったという事実は、客観的な記録によって明らかだ。女装したリード・シンガーが率いるこの一風変わったポップ・バンドは1982年、「Do You Really Want To Hurt Me(邦題:きみは完璧さ)」を66位という控えめな順位でシングル・チャートに初登場させている。その5週間後、大人たちがボーイ・ジョージという新しいスターの誕生を快く思わない中、同曲は1位を獲得したのである。
彼らのオリジナルでライトなポップ・レゲエ・ナンバーである「Do You Really Want To Hurt Me」は、こちらもまたレゲエ曲であるミュージカル・ユースの「Pass The Dutchie」を退けて全英の首位に立った。このシングルの成功は、デビュー・アルバム『Kissing To Be Clever』の発表にこれ以上ないタイミングであった。「Do You Really Want To Hurt Me」がチャートを駆け上がる中でリリースされた同アルバムも、シングルの1位獲得の後に最高位5位を記録している。
「Do You Really Want To Hurt Me」はカルチャー・クラブが世界中で人気を得る足掛かりとなり、オーストラリアや他のヨーロッパ各国でも1位になっている。同曲は動きの鈍い米国のマーケットでも少しずつリスナーに受け入れられ、1983年の春には3週間に亘り2位に留まった(1位のポジションを譲らなかったのはマイケル・ジャクソンの「Beat It(邦題:今夜はビート・イット)」だった)。
ボーイ・ジョージは当時、先鋭性の高い音楽誌であるザ・フェイスのインタビューで同シングルの大ヒットについて語っていた。彼は型破りなイメージは作り込まれたものであることを明確にするとともに、彼らのファンにはクラブに通う若者たちだけでなく一般のリスナーもいるとの認識を示している。
「例えば家庭の主婦とか、一般の人も僕らのシングルを買っているのはあまり知られていない」とボーイ・ジョージは語った。「だから‘いつもその恰好で出歩いているんでしょ’とか言われると腹が立つんだ。2週間くらい前までは、ほとんどの人に女だと思われていたんだよ」
「サンデー・ピープルが“今週の大馬鹿者”って僕をこき下ろした記事を見たかい? 僕は笑っちゃったよ。第一、無視されて喜ぶやつなんていないだろう? だから僕としては、あの手のものを深刻に受け止める気にはならないね」
カルチャー・クラブ『Kissing To Be Clever』