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INXS、自身初の全英No.1アルバム『Welcome To Wherever You Are』
イギリスのファンベースを築き上げようと何年も努力してきたINXS(インエクセス)が、1992年にその人気が最高潮に達した。アルバムがイギリスで3枚連続のトップ10入りを果たし、立て続けにアルバム『Welcome To Wherever You Are』をリリースし、その年の8月15日に一瞬にしてヒットした。
このオーストラリアのバンドの直前の2作は、ともにイギリスでプラチナムを獲得。1987年の『Kick』に至っては、2年を少し超える期間チャート入りを続け、トリプル・プラチナを獲得した。そして1992年8月に発売されたINXSの8枚目のスタジオ・アルバム『Welcome To Wherever You Are』は60ピースのオーケストラとの共演という挑戦的な面もありつつ、同時に生々しいロックのルーツに戻ったシンプルなアルバムでもあった。
この新譜の前兆はイギリスではさほど良くはなかった。リード・シングルの「Heaven Sent」がアメリカではラジオでヘビロテされる大ヒットとなったが、イギリスでは7月に最高31位を記録するにとどまった。しかし、LPに収録されたもう1曲「Not Enough Time」は、その月に開催されるバルセロナ夏季オリンピックに合わせて他のアーティストも収録されたコンピレーション『Barcelona Gold』に収録され、大きな露出につながった。同曲は、アメリカでトップ30入りするヒット曲となっている。
INXSの初期のプロデューサーであったマーク・オピッツを再起用した『Welcome To Wherever You Are』は、オリンピックの最終週にリリースされた。イギリスやスウェーデンでは、すぐに故郷オーストラリアでの成績をも上回る結果となった。そしてすぐにニール・ダイアモンドの『Greatest Hits 1966 – 1992』からトップの座を奪って1位に輝き、33週間全英チャートにランク・インし続け、デビューから1年と1週間後にチャートから姿を消した。9月には「Baby Don’t Cry」が全英シングル・チャートに20位でランクインし、「Taste It」と「Beautiful Girl」でさらにトップ30のヒットを記録した。
Written by Paul Sexton