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“ネオ・ソウルのゴッドファーザー”、ロイ・エアーズが84歳で逝去。その功績を辿る

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Photo: Jack Vartoogian/Getty Images

ヴィブラフォン奏者としてジャンルを切り拓き、“ネオ・ソウルのゴッドファーザー”と称されたロイ・エアーズ(Roy Ayers)が逝去した。享年84。息子のエムトゥーメが、彼が長い闘病生活の末にマンハッタンの病院で亡くなったことを伝えている。

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その生涯

ロサンゼルス出身のロイ・エアーズは、音楽一家に生まれ育った。5歳の時、ジャズ界のレジェンド、ライオネル・ハンプトンのコンサートを観に行き、多くの観客の中からロイ・エアーズの音楽性の芽生えを見出したライオネルからヴィブラフォンのマレットを贈られたというロイは、「あのとき、両親から“彼はお前に特別な音楽の力を授けてくれたんだ”って言われたんだ」と当時を振り返っていた。その後、ロイ・エアーズは同世代のジャズ・ミュージシャンの中でも最も成功を収めた一人へと成長を遂げる。

1960年代のビバップ・シーンでキャリアをスタートさせた彼は、1970年代初頭に自身のバンド“ロイ・エアーズ・ユビキティ”を結成。1970年から1977年にかけて11作のアルバムを発表し、エレキ楽器やロック、R&Bの要素を取り入れたジャズを展開した。ロイ・エアーズと共演経験のあるプロデューサー、エイドリアン・ヤングはClash誌の取材に対しこう明言している。

「ロイ・エアーズは、我々が“ネオ・ソウル”とみなすものの大部分を担っている。あのグルーヴがまさにそうなんだ。当時の人々がグルーヴのある音楽を作っていなかったとは言わないが、彼がパイオニアであることは間違いない」

ロイ・エアーズはかつて、自身の音楽のジャンルについてこう語っていた。

「私が特別ユニークだとは思わないよ。“ソウル”というものはずっと昔からある。アフリカにルーツを持ち、250年に及ぶ奴隷制度や人種差別の影響を受けてきた文化の中から生まれたものなんだ」

Roy Ayers: NPR Music Tiny Desk Concert

 

ロイ・エアーズ・ユビキティによる12作のアルバムは、累計149週間にわたって全米アルバム・チャート(Billboard 200)にチャートインした。なかでも1976年のアルバム『Everybody Loves the Sunshine』からの同名シングルは、彼の代表作として今もなお愛され続けている。

この楽曲の印象的なグルーヴは、2パック、メアリー・J. ブライジ、スヌープ・ドッグをはじめとする多くのヒップホップやR&Bアーティストにサンプリングされてきた。2016年のDummy誌のインタビューの中で、彼はこう語っている。

「若い世代が私の音楽に興味を持ってくれるのは素晴らしいことだよ。私自身、今も人気が高まり続けているのを感じるからね」

近年もロイ・エアーズの音楽界への影響力は衰えることはなかった。2015年にはタイラー・ザ・クリエイターの楽曲「Find Your Wings」にゲスト参加し、その後タイラーの主催するフェス“Camp Flog Gnaw”でもパフォーマンスを披露。

FIND YOUR WINGS

彼の最後のソロ・アルバムは2004年にリリースされた『Mahogany Vibe』で、ネオ・ソウルの代表的アーティストであるエリカ・バドゥも参加している。ロイ・エアーズは、妻のアルジェリー、息子のエムトゥーメとナビル、娘のアヤナ、そして孫娘を後に残した。

Written By Hannah Zwick




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