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アニメ『怪獣8号』の主題歌を担当するワンリパブリックとは? 20年以上第一線で活躍するその魅力
2024年4月から放送/配信される新作アニメ『怪獣8号』のオープニングテーマをヤングブラッド(YUNGBLUD)が、エンディングテーマをワンリパブリック(OneRepublic)が担当することが発表された。
そのエンディングテーマ「Nobody」を歌うワンリパブリック(OneRepublic)とは、どんなバンドなのか? そして代表曲を音楽ライターの松永尚久さんに解説いただきました。
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一瞬にして心躍らせるダンサブルな楽曲から、傷ついたハートに寄り添う美しいバラードまで、ワンリパブリックが生み出してきた音楽は、これまで世界中で数多くの熱狂と感動を呼び起こしている。実は、ここ日本でも数多くの場面で彼らの音楽を耳にする機会があり「あ、どこかで聴いたことがある」と情景がフワッと浮かんでしまう名曲を残しているのだ。
その経歴と代表曲
ワンリパブリックとは、フロントマンでありソングライティングを担当するライアン・テダーを筆頭に、ギタリストのザック・フィルキンスとドリュー・ブラウン、ベーシストでチェリストのブレント・クツレ、ドラマーのエディー・フィッシャー、キーボーディストのブライアン・ウィレットャーからなる6人組バンド。
2002年に米コロラドにて結成され、2007年にアルバム『Dreaming Out Loud』を発表(日本盤は2008年)。収録の失恋した相手への謝罪をつづった楽曲「Apologize」のティンバランドによるリミックス(ティンバランド・プレゼンツ・ワンリパブリック名義での発表となっている)が、世界16カ国のチャートで首位を獲得し、第51回グラミーにて最優秀ポップ・パフォーマンス(デュオもしくはグループ・ヴォーカル部門)にノミネートされるなどのヒットを記録。結果、アルバムはアメリカのみでプラチナ(100万)セールスを突破するなど、瞬く間に人気バンドの仲間入りを果たす。
2008年にはサマーソニックに出演し日本初パフォーマンス、2009年には2ndアルバム『Waking Up』を発表し、こちらも多数のヒット曲を輩出している。そして2013年にリリースされた3rdアルバム『Native』は、収録されたカントリー風なアコースティック・ギターにエレクトロ・ポップを織り交ぜたサウンドで人生で大切なものは何かを問いかける「Counting Stars」が、世界中のチャート上位を席巻。
ミュージック・ビデオは40億近い視聴数を記録するなど、これまでのバンドにおける最大ヒットに。その後、世界を席巻するEDMのルーツ的な楽曲としても知られる。結果、アルバムは全米チャート4位に初登場し、世界で500万以上を売り上げた。
2016年発表の4作目『Oh My My』においては、全米チャートで3位にランクイン。2021年には現状における最新アルバム『Human』をリリース、収録曲の「Rescue Me」は全米でプラチナ・セールスを獲得するなどヒットを記録している。
さらに2022年に公開され、社会現象を巻き起こした映画『トップガン マーヴェリック』のサウンドトラックとして「I Ain’t Worried」を書き下ろし。軽快な口笛のイントロが印象的なこの楽曲をバックに、主演のトム・クルーズが圧巻の肉体美を披露したことによって、話題が拡大。全米チャートではバンド史上4作目となるトップ10入りを果たし、日本でも洋楽チャートでトップ3入り。ミュージック・ビデオは約3億再生(お笑い芸人であるピースの綾部祐二さんが登場した完全コピー動画も話題に)、ストリーミングも15億に迫る勢いに達するなど、大きな話題をさらう。
結果、2023年に東京ガーデンシアターで開催された単独来日公演も、瞬く間にソールドアウト。キャリア20年以上が経過しても、その人気はとどまることを知らない。
作曲家ライアン・テダーの凄さ
また、バンド活動のみならず、フロントマンであるライアン・テダーは音楽プロデューサーとしても活躍。2007年にレオナ・ルイスのデビュー曲で全米チャート1位を獲得した「Bleeding Love」を筆頭に、U2、ビヨンセやワン・ダイレクション、ジャスティン・ビーバーなど、そうそうたるミュージシャンの作品に携わり、グラミー賞では第54回でアデルの『21』、第58回でテイラー・スウィフトの『1989』、続く59回には再びアデルの『25』において、それぞれ<最優秀アルバム賞>を獲得(総ノミネートは11に及ぶ)。
最近ではエド・シーラン、ブラックピンク、リル・ナズ・Xなど、ジャンルを問わずさまざまなミュージシャンの作品に携わり、結果これまで彼が関わったアルバムのトータル・セールスは1億以上(推定)におよび、21世紀のポップ・マエストロとしての地位を確立した存在になっている。
昨年おこなった来日公演において「今までは、バンドの楽曲と自分が携わってきた音楽は別物と考えていたんだけれど、パンデミックによる状況の変化によって、考えが変わったんだ。自分が手がけた楽曲、どれも好きで誇りを持っている。それを区別してしまうのは違うのかなって」とコメントし、以前まで封印してきた提供曲の数々をメドレーで披露していたのだが、改めてそのパフォーマンスを通じて楽曲の数々に耳を傾けると、どれも個性的というか、パフォーマンスをするミュージシャンのパーソナリティに寄り添い、彼らを<憑依>させて制作しているような雰囲気が伝わってきた。
天賦の音楽センスもあると思うが、その誠実な姿勢が、これまで多数のアーティストたちを魅了させ、時代に残るポップ・ソングを生みだし続ける秘訣なのかもしれない。
ジャンルを超えた音楽性と普遍なるメロディの美しさ
ジャンルや世代を問わず、これまで多数のヒット曲を量産しているライアンだけあり、ワンリパブリックで表現する楽曲も多彩である。先述のEDMブームの先駆けを築いた「Counting Stars」を筆頭に、ロックやヒップホップ、クラシックなど、さまざまな音楽要素を巧みに取り入れ、かつそれらを満天の星空のような煌めきをまとったポップ・ソングへと昇華。自分がまるでドラマ(海外)の登場人物になったような気分にさせる。つまり、何気ない日常を、スペシャルな空間に変化させてしまう魔法をかけてくれるのだ。
それと同時に、時代が放つ空気をいち早くキャッチし、それらをわかりやすく、かつエッジを効かせるという繊細なテクニックを、サラリと表現しているようなクールさがうかがえる(きっとその裏ではたくさんの試行錯誤を繰り返しているのだろうが、そういう様子を感じさせない)。
キャリアを重ねると、徐々に表現スタイルを固定させるミュージシャンが多いなか、20年にわたり柔軟性をキープさせ続けていられるところも、このバンドのすごいところなのではないかと思う。しかし、そのキャリアのなかで彼らの音楽において不変の部分がある。それはメロディの美しさだ。どんなビートを展開していようが、ライアンの奏でる繊細な旋律は、心を浄化させるというか。人生においてフォーカスすべきことは何か?ということを問いかけているような、ピュアなもの。その純粋さもまた、バンドが常に支持され続けている要因なのではないかと思う。
そんな彼らのしなやかかつ芯の強さを感じる音楽ヒストリーは、2023年に日本独自でリリースされたベスト盤『ワンリパブリック – ジャパン・パラダイス・ツアー・エディション』に集約されているので、ぜひそちらをチェックしていただきたい。
チェックするといえば、彼らのライヴ・パフォーマンスも欠かせないもの。昨年おこなわれた単独来日公演では、ヒット曲の宝庫ということもあり、会場は瞬く間に一体化。押し寄せた1万人に及ぶ観客と一緒に、カラオケを楽しんでいるような感覚を味わうことができた。それは、決して楽曲をまる覚えする必要はなくて、彼らのフレンドリーな雰囲気、周囲の観客の熱狂に包まれると、自然にステップを踏んだり、声を出したくなってしまうから、自然と楽しい気分になってしまうのだ。
ちなみに、来日公演では「Apologize」のパフォーマンスにおいて、会場を3つのパートに分けて、即興でコーラスを展開。複雑なメロディを言葉の壁を超えて観客へ丁寧にレクチャーし、完璧かつ感動的なハーモニーを導きだしたライアンの演出力に、改めて驚愕させられた。
2024年8月に開催の<サマーソニック>への出演が決定した彼ら。より大勢のオーディエンスを巻き込みながら、特別な魔法の時間を我々に与えるだろう。
Written By 松永 尚久
【主題歌情報】
ワンリパブリック「Nobody」
2024年4月12日デジタル配信
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ヤングブラッド「Abyss」
2024年3月29日デジタル配信
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【アニメ『怪獣8号』作品情報】
2024年4月13日より毎週土曜23時~
テレ東系列ほかにて放送/X(Twitter)にて全世界リアルタイム配信開始
各種動画配信サービスにて毎週土曜23:30より順次配信開始
『怪獣8号』は集英社のマンガ誌アプリ「少年ジャンプ+」にて2020年7月より連載中、数々のマンガ賞に輝き、既刊11巻にして国内累計発行部数が1,200万部を超える(デジタル版含む)松本直也氏による大人気コミック。2022年8月、アニメーション制作:Production I.G/怪獣デザイン&ワークス:スタジオカラーによるアニメ化が発表された。
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