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ピストルズのジャケット等を手掛けた英デザイナー、ジェイミー・リードが逝去。その功績を辿る
セックス・ピストルズ(Sex Pistols)の名高いアルバム・ジャケットやロゴのデザイナーとして知られる英国人アーティスト、ジェイミー・リードが76歳で逝去した。現時点で死因は明かされていない。彼の作品を管理するジョン・マーチャント・ギャラリーは次のような声明と共にこの訃報を伝えている。
「悲しいお知らせですが、ジェイミー・マクレガー・リードが逝去されました。(1947年1月16日 – 2023年8月8日)アーティスト、因習打破主義者、アナーキスト、パンク、ヒッピー、反逆者、ロマンチスト。ジェイミーは愛する娘のローワンと孫のローズ、そして膨大なレガシーを後に残しました」
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パンク・ムーブメントの象徴としてのセックス・ピストルズの台頭には、マルコム・マクラーレンのマネージメントやヴィヴィアン・ウエストウッドの衣装と同じくらい、ジェイミー・リードの貢献が極めて重要だった。
彼の最も知られている作品には、身代金を要求する脅迫状の切り貼りスタイルを模倣したバンドのデビュー・アルバム「Never Mind The Bollocks」の忘れがたいアルバム・ジャケット、そして「Anarchy in the UK」「God Save The Queen」「Pretty Vacant」「Holidays in the Sun」といったシングル・ジャケットなどがある。
1979年、彼はMelody Maker誌のインタビューで当時をこう振り返っていた。
「俺たちは意図的にメディアを利用して自分たちの考えを伝えるようにしていたんだ。奴らはとても愚かなので、書いてくれることはわかっていた。特に音楽紙の記者はみんな、こぞって間違った報道をしていた。なぜって、人々から金をむしり取ろうとしたのがやつらの魂胆だったからね」
その生涯
ジェイミー・リードは、1947年1月16日にロンドンでDaily Sketch紙のローカル記事編集者だった父のもとに生まれた。彼の芸術的な才能は、1964年から学んだ南ロンドンのクロイドン・アート・スクールで培われ、状況主義運動や1968年のパリ暴動の精神への畏敬の念によってより大胆に進化を遂げていった。
1970年に、彼はジェレミー・ブルックとナイジェル・エドワーズと共にカウンター・カルチャー誌“Suburban Press”を創刊し、1974年の書籍「Leaving the 20th Century: The Incomplete Work of the Situationist International」のグラフィックデザインを手掛けた。
彼は、1983年に行われたThe Face誌のジョン・サヴェージとのインタビューの中で、自身のスタイルについて次のように語っていた。
「ストリートや新聞、テレビのために、複雑なことを簡単に伝えるためのイメージを作成することだね。女王に刺した安全ピンや“Anarchy( in the UK)”の旗のイメージなんかは、それまでの16年間で自分が経験したことを表現したものなんだ。そして、俺はオルタナティブな政治の時代を生きてきたんだってことを覚えておいてくれ」
同インタビューで、彼はパンクの始まりについてこう述べている。
「短い期間ではあったが、非常に激しく、創造的で、関連性のある時期があった。とても先見性があった。今でもブリクストンの一部の地域を歩いていると、病的な(ウィリアム・)ホガースの絵のような光景を目にする。それは余波であり、パンクロックが策略的に残したものなんだ。セックス・ピストルズが活気づいて重要だった頃、誰も彼らにレッテルを貼ることはできなかった。メディアでさえね。ある日は英国国民戦線、またある日はベッドの下の共産主義者、その翌日にはアナーキストと呼ばれていたんだ。そして、その後はとてもわかりやすく規制線を張られるようになっていった。振り返ってみれば、“God Save The Queen”が1位になった週に、バンドを解散して出て行くべきだったと思っている。実際にマルコムと俺はそうしたかったんだ」
Written By Paul Sexton
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セックス・ピストルズ『Never Mind the Bollocks, Here’s the Sex Pistols』
1977年10月28日発売
CD / iTunes Store / Apple Music / Spotify / Amazon Music