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blink-182『Take Off Your Pants and Jacket』解説：00年代初期ポップ・パンクを代表する名盤
1999年に発売された3枚目のアルバム『Enema of the State』が商業的に驚異的成功を収めた2年後、サンディエゴ出身のポップ・パンク・スーパースターとなったblink-182は、音楽界の頂点に立ちながらその座を当分譲る気がない姿勢を見せていた。彼らは伝染的な高揚感のあるトラックを通じてユーモラスな高校生の反抗精神を不器用に表現し、2000年代初期に起こったポップ・パンク現象を代表するバンドとなった。
慌ただしいツアースケジュールが少し落ち着き始めるとすぐに、彼らは4枚目となるスタジオ・アルバムに取り掛かった。しかし音楽的方向性についてメンバー3人の間で摩擦が起き始めた。ギタリストのトム・デロングはもっとヘヴィーなギター・サウンドを望み、ドラマーのトラヴィス・バーカーはより挑戦的なアレンジを望み、ベーシストのマーク・ホッパスは元々の親しみやすい磨きのかかったメロディーとシンプルなアレンジを望んだ。ホッパスは『Enema of the State』に続く作品を作るにはそれが鍵となると信じていたのだ。
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大成功となった4枚目のアルバム
blink-182はグリーン・デイ、モリッシー、ランシドと手掛けたパンク・プロデューサーのジェリー・フィンを再び迎え、2001年2月から3か月間サンディエゴのシグネチャー・サウンド・スタジオにこもってレコーディング・セッションに挑んだ。トラヴィスは間違いなくメンバーの中で最も熟達したミュージシャンであり、すでにロサンゼルスにあるララビー・スタジオにてドラム・パートを録音済みであったため、デロングとホッパスはシグネチャー・サウンドでのセッションで奮闘しながら、時には白熱した雰囲気の中で、自分たちのパートに取り組んだ。
2001年6月12日にMCAレコーズからリリースされた『Take Off Your Pants and Jacket』は発売から1週間で35万枚売り上げ、それはパンク・バンドにとっては初の記録となった。新たに注目された要因として“パンツとジャケットを脱げ”というその挑発的なアルバム・タイトルが挙げられる。バンドの既に定着した青年期のユーモアに合わせてのダジャレが使用されたのだ。
アルバムの内容
前作と同様にジェリー・フィンのプロダクション技能は初めから輝かしいが、歌詞の焦点も変化していることもうかがえる。オープニング・トラック「Anthem Party Two」でトム・デロングは「もし俺たちが失敗したら、おまえのせいだ」と歌っており、バンドがもっと誠実な態度を身につけたことが分かる。
しかしその考えが完全に馴染む前に「Online Songs」では彼ららしいサウンドが勢いよく飛び出す。分厚いベースラインに合わせてトラヴィス・バーカーの悪名高い熱弁のように語られるドラム音が鳴り響く。
ヒット・シングルが3曲収録された『Take Off Your Pants and Jacket』は、レーベルが望んだものすべてが含まれていた。「First Date」（デロングがしぶしぶ作曲/レコーディングしたトラックだったが、USオルタナティヴ・チャートで6位にランクイン）は、前作『Enema Of The State』に間違いなく似たアレンジとリリック内容になっている。
その他に、デロングとホッパスのそれぞれの曲が今までよりもはっきり区別されており、ホッパスの子供っぽい「Happy Holidays, You Bastard」とデロングのダークな「Story of a Lonely Guy」は対照的な仕上がりとなっている。
充分な光と影を含むblink-182の4枚目となるスタジオ・アルバム『Take Off Your Pants and Jacket』はまるで躁鬱の人のようでもある。というのもUSオルタナティブで2位にランクインした「Rock Show」のようにエネルギッシュで色鮮やかなポップ・パンクから、「Stay Together For The Kids」のようなダークで悲しげなトラックまでが含まれているからだ。
殆どの曲が3分程の長さで「Roller Coaster」や「Reckless Abandon」、そして「Every Time I Look For You」はどれもblink-182らしい要素で完成され、アルバム後半には「Give Me One Good Reason」や「Shut Up」、そしてホッパスとデロングがボーカル担当を交代した「Please Take Me Home」が収録されている。
デビューから10年経った頃にリリースされた『Take Off Your Pants and Jacket』が、彼らのキャリアの転換点となったのは間違いない。しかしblink-182に与えられたスターの地位が大きな負担となっていたのは明らかだった。2年も経たない内にバンドは活動休止を発表し、結成メンバーだったデロングは最終的にバンドと疎遠になってしまう。
発売から20年以上経ったアルバムは今でもblink-182の伝説の頂点としてあり続け、それは彼らが大人の世界に加わり、高校をテーマとした曲に別れを告げた瞬間を象徴している。リイシュー版に載せられた解説でホッパス自身も本作について次のように語っている。
「混乱した、賛否両論の、素晴らしく、苦しく、カタルシス効果のある未知の世界への跳躍だった」
Written by Oran O’Beirne
blink-182『Take Off Your Pants and Jacket』
2001年6月12日発売
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