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ウィリアム・バロウズから影響を受けたザ・ローリング・ストーンズの『Undercover』
1983年11月7日、当時キャリア19年のザ・ローリング・ストーンズがイギリスでリリースしたスタジオ・アルバムのトータルが17枚目に達した。アメリカでは、キャリア初期のリリース・スケジュールがイギリスと異なっていたために、19年間で合計19枚となった。野心的でノリの良いリード・シングル「Undercover Of The Night」の数日後に姿を現したそのアルバムは、『Undercover』というタイトルの1枚だった。
1981年リリースのアルバム『Tattoo You』に続くこのアルバムは、共同プロデューサーにクリス・キムジーを迎え、パリのEMIスタジオを使用した82年の暮れと、バハマのナッソーにあるコンパス・ポイントで83年の春から夏にかけてとの2つの時期に分けてレコーディングされている。『Undercover』は、イギリスではアダム・アントからスティーヴ・ハケットに至る多くのアーティスト達のニュー・アルバムと同じタイミングでリリースされた。皮肉にもと言うべきか、その中には後に頼れるプロデューサーとしてザ・ローリング・ストーンズと関わることになるドン・ウォズのいるウォズ(ノット・ウォズ)の名前もあった。
アルバムにはジャガー=リチャーズによる作品が10曲収録されていたが、その多くがエッジーでダークな雰囲気を持っていた。後に判明することだが、彼ら作曲チームの仲が険悪になっていたことが影響したのだという。しかしそれはそれとして、南アフリカの政治的腐敗についてのミック・ジャガーによる歌詞も手伝って、『Undercover Of The Night』が“後期”ザ・ローリング・ストーンズを代表するアルバムのひとつになったのは違いない。
1993年のコンピレーション・アルバム『Jump Back』のライナーノーツで、ミック・ジャガーは次のように述べている。「別にパクったわけじゃないけれども、この曲はウィリアム・バロウズの小説『シティーズ・オブ・ザ・レッド・ナイト』から強い影響をもらって作ったんだ。政治からセックスまでにまつわる弾圧をテーマにした自由奔放な作品だよ。アルゼンチンやチリで起きている様々なことについて書いてある」。キース・リチャーズの言葉も足しておこう。「この曲はミックが入念に組み上げててさ、俺はそれに従ってプレイしただけ。かなり何度も音を重ねているよ。あの時のレコーディングはしょっちゅう揉めて中断したからね」
ザ・ローリング・ストーンズの5人に加えて、『Undercover』にはサックス奏者のデヴィッド・サンボーン、レゲエ界が誇るスライ・ダンバーとロビー・シェイクスピア(スライ&ロビー)、そしてザ・ローリング・ストーンズのスタジオ・アルバムに登場するのはこのアルバムが最期となり、その後1985年に逝去してしまった彼らが愛してやまなかったローディーのイアン・“スチュ”・スチュワートなどがフィーチャーされている。アルバムはアメリカのヒット・チャートでは4位が最高位で、それまでのアルバム8枚連続1位という記録を途絶えさせてしまったものの、評判は上々の出来栄えであった。
Written by Paul Sexton
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ザ・ローリング・ストーンズ『Undercover』
ザ・ローリング・ストーンズ
『Let It Bleed (50th Anniversary Limited Deluxe Edition)』
2019年11月1日発売
デラックス・ボックス / CD / LP
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