Stories
ディープ・パープル『Perfect Strangers』解説:第二期メンバーの再結成アルバム
ロック・ファンたち、特にディープ・パープル(Deep Purple)のファンたちは何年もの間、見込みのない希望を持ち続けていた。
1960年代後半と1970年代前半にバンドに訪れた最初の成功に付随する全てのわだかまりや感情の起伏があったが、第二期のラインナップで再結成される方法が見つかるかもしれないというかすかな可能性が常に存在していたのだ。
リッチー・ブラックモア、イアン・ギラン、ロジャー・グローヴァー、ジョン・ロード、イアン・ペイスによるラインナップでの再結成アルバム『Perfect Strangers』がUKチャートに入った1984年11月に、そのファンの想いは具体的なものになった。
<関連記事>
・1972年夏の熱狂『Made In Japan / ライヴ・イン・ジャパン』
・ディープ・パープルによるロックとクラシックの融合
1970年代にディープ・パープルが制作した最後の3枚『Burn』『Stormbringer』『Come Taste The Band』には、リード・ヴォーカルのイアン・ギランも、ベースのロジャー・グローヴァーも参加していない。1975年のアルバム『Come Taste The Band』にはギターのリッチー・ブラックモアすら不参加であった。その頃に浮上したバンド・メンバー内の敵対意識は、当時、バンドが抱えていたタイトなレコーディングとツアー・スケジュール、そしてそれが原因で起きた健康障害が影響して生まれたものだった。
1970年代の後半、そして80年代になり、バンド・メンバーたちは彼ら自身の活動へと移行してしまった。イアン・ギランは彼自身のバンドでチャートの成功を目指し、リッチー・ブラックモアはレインボーを結成。彼らの過去のバンド仲間もまた彼らの音楽的領域を拡大していき、ホワイトスネイクやゲイリー・ムーアのバンド、その他のプロジェクトで活躍した。
ディープ・パープルの第二期メンバーによる1973年にリリースされた最後のアルバム『Who Do We Think We Are(紫の肖像)』から11年後の1984年、奇跡的にこのチームが再結成し、バーモントで新たなアルバムをレコーディングするという話が浮上した。ロジャー・グローヴァーとバンドによってプロデュースされた『Perfect Strangers』は1984年11月10日、イギリスでチャート・インし、今日まで刺激を与え続けてくれる作品群の仲間入りとなった。
多くのディープ・パープルのファンに暖かく受け入れられた『Perfect Strangers』はUKアルバムチャート初登場5位を記録。1974年の『Burn(紫の炎)』が4位に輝いて以来の最も高い順位だった。12月1日には全米チャートにも登場、『Perfect Strangers』はアメリカで、1972年の『Machine Head』以来となるバンドの2枚目のプラチナ・ディスクとなり、32週のチャートインの間で最高17位まで上昇した。
Written by Paul Sexton
ディープ・パープル『Perfect Strangers』
1984年10月29日発売
iTunes / Apple Music / Spotify / Amazon Music
- ロックとクラシックの融合『Concerto For Group And Orchestra』
- リッチー・ブラックモアの新しいバンド、レインボーが誕生
- ディープ・パープルのキーボード、ジョン・ロードを偲んで
- ディープ・パープル再結成をやってもいいとリッチーが語る
- ディープ・パープルの20曲